水分計測を行う際の基本になりますが、大原則として3つ挙げられます。
1,適切な計測器の選定(定量性、応答性、再現性、長期安定性、経済性等)
2,適切なサンプリングシステムの構築(配管の材質や経路の組み方等)
3,適切な運用(どの程度の時間をかける等。)
全てに適切というワードが含まれていますが、水分計測の目的と要求するレベルによって適切の基準が変わってきます。
研究などにおいて、とにかく正確に正しく水分量を知りたい場合などには、現状最も正確で信頼性のある測定方式の機器(例えばCRDS方式)の選定が必要になります。
そこまで正確ではなく、製品の製造ラインなどで製品の不良品が出ても莫大な損害費用がかからない(半導体製造などは莫大な損害費用が発生するので難しい所ですが。)場合などは、とりあえず安くて使い勝手の良い。例えば静電容量式露点計などの選定でも大丈夫なアプリケーションもあります。
また測定ガスを流す配管の素材もとにかく正確にということであれば、SUS配管の電解研磨仕様を使用し、継ぎ手部分はVCRもしくは同等品、バルブはSUS製ダイアフラムを使用しているバブルを使用するなどが必要になります。
露点温度(-60℃dp以上)であればPTFEチューブの使用も可能ですが、-70℃dpでは信頼性に疑問が付きます。
よく配管に圧力をかけていれば水分は混入しないと言われていますが、PTFEチューブではある程度加圧された状態でも水分が混入しているケースがあります。
どこまで正確に、またどの程度の水分量を測定するかによって適切な配管の材質等変わってきます。
最後に、適切な運用になりますが。こちらは測定にかける時間をどの程度までとるかによります。これは選定した機器の性能、選定した配管の材質、配管の組み方(長さやデットスポットの有無等)などが測定結果に影響を及ぼします。例えばCRDS方式水分計では10分程度で応答する変化も静電容量式では数時間、へたをすれば数日かかる場合があります。また配管の材質や配管の長さによっては、配管内壁に吸着している水分子が測定を行っているガスの水分と平衡するまでの時間も変わってきます。これらの事を踏まえて、実際に測定においてどの程度の時間のスパンでデータを取得し、それを測定結果として反映させていくか、その見極めが水分測定の目的の成功に大きく影響します。
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