水分計・露点計の具体的な選び方|実務で失敗しない5つの選定ステップ

水分計

【導入文】

水分計や露点計を選定する際、具体的にどのように機種を選んでいけばよいか頭を悩ませる担当者の方は少なくありません。今回は、現場での仕様選定で失敗しないための「5つの具体的なステップ」をプロの視点で分かりやすく解説します。

💡 水分測定の基本大前提 基本的に水分測定においては、ガス状の気体中の水分を配管内に流した状態(サンプリング)での測定が基本となります。水分子は非常に吸着・脱離しやすい性質を持っているため、静止した空間中の水分量を正確に測定することは極めて困難です。この「水分の性質」を念頭に置いて選定を進めましょう。

1.想定される水分量(測定領域)はどれくらいか?

想定される水分量によって、選定する機器の「測定原理」や「機種」が大きく限定されます。自社の環境が以下のどの領域に該当するかをまず確認してください。

  • 環境温度より高い(高水分領域) この領域では、「高分子タイプの高湿度対応露点計」や「ミラー式(鏡面冷却式)露点計」の選択にプラスして、結露を防ぐための「サンプリングシステムの保温(ヒーティング)」が非常に重要になります。測定ガスが周囲の環境温度で冷やされて配管内で結露してしまうと、正確な測定が不可能になるだけでなく、機器の故障原因にもなるため細心の注意が必要です。

  • 露点 -40℃dpまで(一般的なドライエアなど) この領域では、コストパフォーマンスに優れた「高分子方式」や「酸化アルミ方式」が一般的によく使われます。なお、管理上より高い測定精度や確実性を求める場合には、基準器としても使われる「ミラー式(鏡面冷却式)」などが選定肢となります。

  • 露点 -70℃dpまで(高純度ガス・中程度ドライ環境) この領域では、予測機能を有した「高分子方式」「酸化アルミ方式」「水晶発振式(QCM方式)」などの選択が可能です。さらに、より高い測定精度や長期安定性を求める場合には、「ミラー式(鏡面冷却式)」や「CRDS方式(レーザー式)」の採用が検討されます。

想定水分量が低くなればなるほど、微量水分に対応できる高度な測定方式が必要になります。

2.どれくらいまで正確に水分を測定したいのか?

必要な精度や再現性、長期安定性をどこまで考慮に入れるかによって、選ぶべき測定器のクラスが変わります。

  • なるべく精度高く、リアルタイムに測定したい 最高峰の測定精度や優れた応答性(スピード)、そして抜群の長期安定性を求める領域です。基準器としても採用される非常に信頼性の高い方式となります。 ➔ ※最高峰の精度とリアルタイム測定を両立した「レーザー式(CRDS)水分計」の解説はこちら
  • 生産管理上のインライン管理 生産品の結果や品質に悪影響が出ない範囲の管理で問題ない場合です。この領域には、インライン方式での使用が可能で原理的に水分の量をダイレクトに測定でき、インラインでの連続監視においてコストとパフォーマンスのバランスが最も良い「水晶発振式(QCM方式)」が最適となります。 ➔ ※インライン管理に最適な「水晶発振式(QCM方式)露点計」の解説はこちら
  • ISOなどの規格管理・公的証明が必要 管理データとしての信頼性や、校正証明書などの書類関係の対応(トレーサビリティ)が重要になる場合です。

3.測定するガスは「不活性ガス」か「腐食性ガス」か?

測定対象となるガスの種類(腐食性の強さ)によって、使用できる機器やセンサーの材質が限定されます。間違えるとセンサーの寿命を著しく縮める原因になります。

  • 不活性ガス(窒素、アルゴンなど) ※二酸化炭素(CO2)ガスは除きます。
  • 腐食性ガス(塩素、硫化水素、酸性ガスなど) ※ガス種によって腐食度の程度がどの程度か、メーカーへの事前確認が必要です。

4.使用したい「環境・設置場所」の条件は?

測定器本体やセンサーを設置する「場所」の安全性や物理的な制約をクリアできるか確認します。

  • 防爆環境(危険場所)での使用が必要か? 本質安全防爆や耐圧防爆など、現場の防爆規格に適合したモデルを選ぶ必要があります。
  • 環境や設置場所のスペース、温度状態 周囲温度や天候の影響など、物理的に設置・メンテナンスが可能かどうかも重要です。

5.「連続測定」を行いたいのか?

測定の運用スタイルによって、固定して使うタイプか、持ち運ぶタイプかが決まります。

  • インライン設置タイプ(据え置き型) 常に配管に接続し、24時間連続で水分量を監視・記録したい場合。
  • 持ち運びタイプ(ポータブル型) 現場の様々なポイントでスポット測定(検査)を行いたい場合。

まとめ:自社の要件に最適な水分計の選定を

水分計・露点計の選定は、「測定したい水分量(領域)」と「対象ガスの性質」を正しく把握することがスタートラインです。上記の5つのステップを一つずつ確認していくことで、自社の用途に最適な、失敗のない機器選定が可能になります。

また、正確な水分測定を行うためには、露点計本体の選択だけでなく、サンプリングシステム(配管やバルブの素材、配管の取り回し等)の設計・構築も極めて重要になります。どれほど高性能な測定器を選んでも、配管からの微小リークや、材質への水分吸着・脱離の対策が不十分であれば、正しい数値を捉えることはできません。本体の選定と合わせて、最適なサンプリング環境の構築も必ず考慮に入れてください。

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