【導入文】
水分計・露点計本体を正しく選定しても、サンプリング配管の設計が不適切であれば、正確な測定は行えません。吸着水分の影響を抑え、水分の溜まり(デッドスペース)を防ぐための「配管材質」「継手・バルブ」「レイアウト」の選定基準を解説します。
1.配管の材質と内部処理の選定
測定する露点(水分量)の領域によって、使用すべき配管の材質や内面処理は明確に異なります。
- 通常 -40℃dp程度まで テフロンチューブ(PTFE/PFA)の使用でも問題ありません。 比較的安価で取り回しが良いため、一般的なドライエア等の測定によく使われます。
- -40℃ から -80℃dpの領域 SUS管(BA処理:光輝焼鈍)を推奨します。 テフロンではチューブ壁面を透過するわずかな水分が無視できなくなるため、金属管(ステンレス管)が必須となります。
- -80℃dp以下の領域(超微量水分) SUS管の内面を「EP処理(電解研磨)」したものを推奨します。 配管内壁の凹凸を極限まで無くすことで、水分子の吸着・脱離を最小限に抑え、水分計の応答性を向上させます。(※腐食性ガスを流す場合においても、EP処理の方が腐食が起きにくいため強く推奨されます。)
💡 腐食性ガスにおける配管サイズの注意点 腐食性ガスなどを扱う場合、配管容積を小さくしてガスの置換効率(応答性)を高めるために、1/8インチなどの細い配管サイズを選定するケースもありますが、ガス種や流量に応じた適切な判断(ノウハウ)を要します。
2.継手とバルブの選定基準
配管の接続部(継手)やバルブも、デッドスペースの原因となるため、領域に応じた使い分けが必要です。
- -40℃dpまで ワンタッチで着脱できる「クイックコネクト(ワンタッチ継手)」等でも問題ありません。
- -40℃ から -80℃dp程度 スウェージロック等に代表される「ダブルフェルール式くい込み継手」を推奨します。 金属同士の強固な接触により、高い気密性を確保できます。
- -80℃dp以下の領域 VCRやUJR等に代表される「メタルガスケット式面シール継手」が必須(推奨)となります。 配管内部にガスが溜まる隙間(ポケット)が一切生まれないため、超微量水分測定のセオリーです。
バルブ選定のポイント
特に-90℃dp以下の極微量な露点測定を行う場合、バルブには「メタルダイアフラム製バルブ」の使用を推奨します。一般的なグランドパッキン式のバルブでは、可動部に残った水分が染み出しが起き応答時間に影響を与えるので、完全なメタルシール構造のバルブの使用を推奨。
3.吸着を防ぐ配管レイアウトの原則
水分計へのガス導入ラインは、以下の原則を徹底したレイアウトに設計します。
- 「なるべく短距離」で「バルブ等も少なく」が鉄則 サンプルラインが長くなればなるほど、管壁への水分の吸着・脱着の影響を受けやすくなり、数値が安定するまでにの時間に影響を与えます。
- 水分の溜まる箇所(デッドスペース)を作らない 配管の途中にガスが滞留するような「下向きのトラップ」や「不要な分岐(止まり配管)」が起きないよう、一直線に流れるレイアウトにします。
4.測定ガスの露点が環境温度より高い場合の対策(加温・保温)
測定対象ガスの露点が、周囲の環境温度よりも高い(=結露のリスクがある)場合は、サンプル系の配管やバルブなど、ガスが触れるすべての接ガス部の加温・保温が必要となります。(※場合によっては、測定器本体自体の加温も必要です。)
⚠️ 結露防止の重要ポイント 基本的には、「測定ガスの結露温度 +10℃程度」は高い温度での保温が必要です。 サンプルラインの途中に一部でも温度が低い場所(コールドスポット)があると、その場所でガス中の水分が一気に結露して液状化します。これが測定器に流れ込むと、正しい測定ができないだけでなく、機器に致命的なダメージを与える(故障する)可能性が高くなります。
まとめ:現場ごとの条件に合わせたノウハウが必要
基本となるチェックポイントは上記の通りですが、実際の現場では「測定機器の特性」「流すガスの種類(腐食性)」「目標とする測定露点、水分量」などの組み合わせによって、安全かつ正確に測るための専門的なノウハウが求められます。本体の選定と合わせて、最適なサンプリングシステムを構築していきましょう。
