露点温度別の推奨配管・継手選定基準とサンプリング時の留意点早見表

水分計

■ はじめに

露点測定や微量水分管理において、測定値の安定性や応答速度に問題が生じる場合、その多くはサンプリング配管および継手の選定・施工に起因しています。

測定対象とする露点温度帯(水分量)によって、許容できる配管仕様や継手のスペックは異なります。本記事では、実務における露点温度別の推奨配管・継手の選定基準と、施工時の技術的な留意点について解説します。
※不活性ガス中の水分測定に関して。腐食性ガスの場合は配管の選定等ガス種によって変わる場合在り。

露点温度帯 水分量(目安) 推奨配管材質 推奨継手 サンプリング時の留意点
〜 -40°C dp 約 120 ppm 以上 テフロンチューブ,
(PTFE/PFA)
ワンタッチカプラー可 簡易な構成で測定可能です。ビニールやゴムチューブは不可
-40°C 〜 -60°C dp 約 120 ppm 〜 10 ppm テフロンチューブ、
SUS管
スウェージロックタイプ
(ダブルフェルール)
応答時間はSUS管のほうが若干早い。
-60°C 〜 -80°C dp 約 10 ppm 〜 1.2 ppm SUS BA管 スウェージロックタイプ
(ダブルフェルール)
応答遅れを防ぐため、SUS管(BA管以上)を推奨します。
-80°C 〜 -90°C dp 約 1.2 ppm 〜 100 ppb SUS EP管 または BA管
(1/8″管の使用可)
スウェージロックタイプ
(ダブルフェルール)もしくは面シール継手
極端な手曲げでなければ、1/8″管でも-90℃dpまで影響はほぼありません(CRDS確認済)。
-90°C dp 以下 100 ppb 以下 SUS EP管
(6mm または 1/4″)
溶接 または VCR
(面シール継手)
配管内部への水分分子の吸着を防ぐため、6mmまたは1/4″のEP管に溶接か面シール、バルブの選定も重要。

■ 配管選定と施工における技術的留意点

1. 1/8インチ配管の使用制限と「手曲げ」の影響について

超低露点領域において、配管系統の容積(ボリューム)を削減し、応答速度を向上させる目的で「1/8インチ配管」が検討されるケースがあります。

1/8インチの肉薄管を手曲げする際、内面に微細な「しわ(凹凸)」が生じることによる水分吸着への懸念がありますが、測定対象の領域によって影響度が異なります。

CRDS(キャビティリングダウン分光法)水分分析計を用いた実測経験では、-90°C dp(約100 ppb)程度までであれば、極端な潰れ(キンク)が生じない通常の手曲げ施工においては、測定値への影響はほとんどないことが経験則的に確認されています。(詳細なデータを取っての検証はされていませんが。)

ただし、-90°C dp(100 ppb)を下回る極微量水分領域において、より確実な配管システムを構築する場合には、微細なしわの影響を排除するため、手曲げ施工を避け、「6mm」もしくは「1/4インチ」のEP管(電解研磨管)を使用し、継手部分は「溶接」もしくは「VCRなどのメタルガスケット面シール継手」で構成する必要があります。

2. 水分浸透(透過)と継手部における水分滞留の影響について

① 樹脂配管における水分の透過(浸透)メカニズム

「配管内部が加圧状態(陽圧)であれば、外部から水分は侵入しない」という認識は技術的に誤りです。 ガス全体の圧力(全圧)がどれだけ高くても、水分自体が独立した圧力(水蒸気分圧)を持っています。大気中の水蒸気分圧と、乾燥ガス内部の極めて低い水蒸気分圧との間には非常に大きな分圧差が存在するため、テフロンなどの樹脂製配管を使用している場合、水分はこの分圧差を原動力として、樹脂の分子間を通り抜けて外部から内部へと浸透(透過)してきます。加圧状態であってもこの浸透を防ぐことはできないため、低露点領域では不透過性を持つ金属配管への置き換えが不可欠です。

② 継手・バルブ内部の「水分滞留(トラップ)」の影響

-90°C dp(100 ppb)以下の微量水分領域では、配管の接続部分やバルブの選定が測定値に決定的な影響を及ぼします。 継手部やバルブの接ガス部にゴムやテフロンなどの有機材料が使われている場合、吸着・滞留した水分が微量ずつガス中へ放出(アウトガス)され続け、正確な測定値が得られなくなります。

また、一般的なねじ込み継手や汎用バルブの内部構造には、ガスが流れにくく水分が抜けにくい「デッドスペース(死水域)」が存在します。ここにトラップされた水分はパージに時間を要し、いつまでもバックグラウンド値を押し上げる原因となります。 そのため、-90°C dp以下では、デッドスペースを極限まで排除したVCRなどの面シール継手や溶接接続を採用し、バルブには接ガス部に非金属材料を使用しないメタルダイアフラムバルブなどの適切な材質・構造のものを選択する必要があります。

■ まとめ

水分・露点測定は、計算式などの理論的な整合性だけでなく、配管径の選定、曲げ施工の品質、接続継手やバルブの内部構造選定といったサンプリングシステムの総合的な設計品質に大きく左右されます。

当社では、測定器単体の選定にとどまらず、お客様の実際の測定環境に応じたサンプリング系統の選定・設計・施工に関する技術的なアドバイスや、施工にかんしても承っております。実際の現場における測定不良や仕様選定についてお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。