日本の国家標準機関である産総研(AIST/NMIJ)が確立したガス中微量水分標準は、他国の主要な標準研究機関との国際比較を通じて、その高い信頼性と世界最高水準の精度が証明されています
。本記事では、2007年から行われた世界初の国際比較の結果と、その意義について解説します。
世界初:微量水分領域における国際比較(パイロット比較)
このプロジェクトには、世界を代表する以下の4つの機関が参加しました 。
- NMIJ: 産総研 計量標準総合センター(日本)
- NIST: 米国標準技術研究所(アメリカ)
- NPL: 英国物理学研究所(イギリス)
- PTB: ドイツ物理工学研究所(ドイツ)
仲介器として採用されたCRDS方式
微量水分領域において、再現性と安定性に優れた測定が不可欠なこの比較試験では、**キャビティリングダウン分光法(CRDS)**に基づく計測器が比較用の仲介器として採用されました 。
NMIJの標準が「世界トップレベル」とされる理由
2010年にすべての実験が終了し、2011年にまとめられた報告書によって、日本の標準の優秀さが明らかになりました 。
1. 国際的同等性の確認
比較の結果、各国の微量水分標準の国際的同等性が、それぞれの不確かさの範囲内で一致することが確認されました 。これにより、日本で校正された機器の数値は、海外(欧米)の基準とも齟齬がないことが公的に証明されました 。
2. 世界最小の発生値と不確かさ
特に、**発生可能な微量水分量の最小値(下限値)および不確かさ(精度の確からしさ)**の観点において、日本のNMIJが供給する標準は世界トップレベルにあることが確認されました 。
なぜ国際的な信頼性が必要なのか?
半導体デバイスや二次電池(リチウムイオン電池など)の製造分野では、材料ガス中のわずかな水分が製品の歩留まりに直結します 。
- 従来の課題: 以前は標準が未整備だったため、信頼性の高い計測結果を得ることが難しい状況が続いていました 。
- 現状: 現在では国際的な同等性が承認された「確かな標準」が国内に供給されています 。これにより、日本の製造現場で行われている微量水分計測は、世界的に見ても質の高いレベルで管理されています 。
産総研 TODAY Vol.12 No.05(PDF)
産総研TODAY
他国の標準(英国 NPL、ドイツ PTB、米国 NIST)との比較で確認された国際的同等性と高い信頼性に関する報告になります。
